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     すい臓がん体験記(2)

すい臓がん体験記(2)    /  飯塚久美子  (2011.02.05)

娘の入学式/2010年4月
大学病院では標準治療のみ
 4月27日大学病院の肝膵胆内科主治医の先生より改めて説明がありました。病状、治療については消化器内科先生とほぼ同じ内容でした。
 ジェムザールを週1回、3週1休を1クールとして、初めの1ヶ月は入院で後は外来で可能。23日の消化器内科の先生の説明の時にも免疫療法の件を相談してみたのですが、大病院ではやっていないので自分の責任でやってほしいとの事でした。
 薦める事も紹介もできないとの事でしたが、主治医には、私の方からもう一度、免疫治療は受けたいと思っていることを伝えました。

 免疫療法は大学病院の他の科で臨床研究中、福岡で免疫療法を受けられるクリニックより血液検査等の資料が大学病院へ提供されている事などを説明し、治療のタイミング等クリニックと相談しながらやってもらいたいと要望しました。肝膵胆内科の先生からもジェムザールと免疫療法の相性は良いとの説明。頭から拒否ではなく聞いてもらえたことに安心感がありました。

 1回目は吐き気止めを点滴後ジェムザール1500+生理用食塩水。副作用は1週間後に手足に発疹、ザーネ軟膏を処方。真っ赤な見た目程には、かゆくなかった。よって、2回目からジェムザールを1200にへ減らして点滴。ジェムザールには脱毛は無いと聞いていましたが、3回目くらいから抜けるようになりました。
 入院中は、他に吐き気や発熱もなく退院。
2クールからは外来で治療しました。何回か吐き気や微熱、倦怠感がありましたが、大したことはなく、今まで治療を休むことなく続けられました。

 目に見えない副作用といわれる骨髄抑制(肝臓の数値や白血球、血小板の減少など)はあり、うるそ(肝臓の薬)を1日6錠、アシノン(胃の薬)を1日2錠服用。治療を中止するほどの数値には至らず、今日まで来ています。
 2クールに1回のペースでCT検査。
6月、9月、11月、1月のCTでは、発病時の4月より腫瘍はだんだん小さくなっています。胃の浸潤部分と腹膜播種はあまりわからなくなり、原発部分も小さくなっています。腫瘍マーカーCA19-9も、4月に72.6だったのが、7月以降は27.1→21.9→25.2→29.0→33.0と推移。

 今年に入って、「1月のCT検査で胆管の通りが良くないように見える」と言われました。「腫瘍マーカーが若干上がってきているのも、その影響かもしれない」とのことで、2月4日にMRI検査予定です。
 ウルソは胆汁を増やすので、1日3錠に減らすことになりました。
他の注意事項としては、免疫力が低下しているので、うがい、手洗い、外出時のマスク等、感染症にかからないように気をつけています。夏に食中毒になり高熱が3日続いて大変だったのですが、...なんと原因は、流しそうめんでした。
クリニックで免疫療法を受ける
 標準治療に加えて、勤務先の同僚が調べていてくれた免疫療法を平行して受けることにしました。保険外診療で高額ですがここは一番、命に代えられない思いです。

 クリニックの治療は、免疫細胞療法、BRM(免疫細胞療法の補助や免疫環境の改善)、癌休眠療法などがありました。私が受けた治療は、人工抗原パルス樹状細胞療法と、活性化リンパ球療法と、BRM(ピシバニールOK432、レンチナン)です。

 まず、アフェレーシス(成分採血)といって、樹状細胞療法に必要な白血球の一部を取り出します。より状態の良い白血球を取るためには抗がん剤治療前が良いとの事で、5月7日に実施。
 通常3時間ほどかかりますが、血管の状態が良くて2時間程で完了。

 その後培養に1ヶ月。ジェムザールが火曜日だったので、クリニックでの治療は主に金曜日。
BRMと、活性化リンパ球の投与(点滴)、樹状ワクチン(両脇に各4ヶ所皮内注射。←かなり痛い。)7回、で1クール。
 私の場合、アフェレーシスで18本取れたので、残り11本は1クール終了後に追加で、1〜2ヶ月に1本投与。

 金額は、1クール終了までに約325万円、追加分が毎回13万2,825円、すべて完了までに約470万円。
 これで治れば安いものですが・・・。

 現在は、他の大学病院などで治験の申請が出され、治療中のところもあります。早く保険診療で出来るようになると良いのですが。
所感、雑感
 がんになって初めてわかること、感じることがたくさんありました。周りの人たちの支え、励ましがどんなに心強かったことか。

 勤務先や身内以外にも、娘が保育園の時のママ友や、小中高学校の時のママ友、小中学校の頃からの幼馴染、町内の人たちなど、親しい人達には隠さずに話しました。
 検診を受けて欲しい事や、発見の難しいがんでは腫瘍マーカー、エコー、CTを受ける事など、伝えたいこともあるし逆に情報をもらうこともありました。

 また、万が一の時を考え、一人になる娘のことも頭をよぎり、みなさんが娘の支えにもなって欲しいという思いもありました。

 今回、患者会に入り、いろんながん患者さんと知り合えましたが皆さん明るく前向きで(最初からそうでは無かったと思いますが)、且つ、やはり患者同士しか共有できない思いもありますし、心のオアシスといった感じです。

 患者会の波多江先生から「膵臓がんを告知されて最初から冷静に受け止められる人はそういません。飯塚さんはどうして落ち着いていられたのですか?」と聞かれ、そのときは「生来の明るい性格もありますし、なったものは仕方が無いので主治医の先生と話し合いながら治療に専念するだけです。」と答えました。

 帰ってからもう一度考えてみました。さかのぼれば、私は高校が建築科で、女子はクラスに1人でした。職場も、現在では女性建築家も多いですが当時はまだまだ男性社会で、ずっと負けまいと肩肘を張ってきたように思います。その上私は、娘が5歳のときに離婚しましたので、今度は母子家庭だからと差別されることが無いようにと人並み以上にがんばってきたように思います。
 それが習い性になって、がんの告知の場面でもつっぱらかっていたのかも知れません。患者会の中では、その肩の荷も降ろせそうな気がします。娘も同じように冷静というか、もう少し心配してよという感じですが、彼女も父親がいない事で色々な事を我慢し、つっぱってきたのかも知れません。

やっぱり親子、似てくるんですね。
ちょっと不憫な気もします。

 さてこれからのことですが、先日もドラッグラグの問題がテレビで放映されていました。ドラッグラグや代替治療など、色々な問題が山積しています。やはり患者が動くことが一番の近道のようです。患者会の皆さんと一緒に少しでも問題解決に行動できたらと思います。患者会の存在もPRしたいと思います。

 個人的には、今まで残業が多く、休みも前日までわからない職場でしたので、あまり行けなかった旅行やコンサートに行ったり、13年ぶりの書道や、新しい資格取得(合格できるまで内緒です。)への挑戦など、人生を楽しみながら治療を続けたいと思います。
(完)